grbl1.1+Arduino CNCシールドV3.5+bCNCを使用中。
BluetoothモジュールおよびbCNCのPendant機能でスマホからもワイヤレス操作可能。
その他、電子工作・プログラミング、機械学習などもやっています。
MacとUbuntuを使用。

CNCマシン全般について:
国内レーザー加工機と中国製レーザー加工機の比較
中国製レーザーダイオードについて
CNCミリングマシンとCNCルーターマシンいろいろ
その他:
利用例や付加機能など:
CNCルーター関係:



*CNCマシンの制作記録は2016/04/10〜の投稿に書いてあります。


2016年12月21日水曜日

レーザー用ゴム板でスタンプ制作:Laserweb3使用

以前から英字スタンプをつくりたいなと思っていて、市販されている英字スタンプ(安価)も買ってみたのですが、もっとオリジナルなスタンプをつくるには、レーザ用ゴム板をレーザー加工すればいいということが分かったので、さっそく材料を注文してみました。
検索してみると、A4サイズのレーザー用ゴム板(3mm厚)で、国内なら1500〜2000円程度。
国内だと印材館(上画像)で1540円(送料250円)。
品質の違いなのか。もう少し高いゴム板もあるようです。
Amazonでは売ってないようなので、ためしにAliExpressで探すと、
AliExpress.com Product - Free Shipping Laser Rubber Sheet 297*210*2.3mm A4 Size Orange colour for laser Engraving Engraver Stamp MakerこれはA4サイズ2枚で2317円(送料無料)。極端に安いわけでもない。

たかがA4サイズのゴムシートで1000〜2000円というのは、高いような気がしたのですが、レーザー用なので普通のゴムシートとは違うのかもしれないということで、AliExpressから1枚(1179円送料無料)だけ購入してみました。

届いたレーザー用ゴム板はこんな↑感じ。A4サイズ210x297mm。ノギスで厚さを計測すると2.3mm。一見赤い普通のゴムシート。表裏の違いはなさそうです。

動画で検索してみると、こんな感じで加工しています。おそらくこれはCO2レーザーだと思うのですが、レーザーで溶けるというよりも削っているような感じです。粉のようなものが出ています。ダイオードレーザでもこんな感じになるのか、今回試してみます。
当然ダイオードレーザー(5.5W)だと弱そうなので出力はMAX値で。ただフィードがどのくらい必要なのか?やってみないことには分からないという感じ。

スタンプにする文字画像を用意(Inkscape):ラスタ加工用
文字のスタンプなので今回はInkscapeで描画します。
まず普通に黒い背景を矩形で描画。そしてその上に文字を白色で書いて重ねます。
スタンプなので、当然左右反転(Object>Flip Horizontal)した画像にします。
そしてこの画像を、File>Export PNG Image...でPNG画像として出力保存します。解像度設定は1600dpiで高めにしておきます。
文字をパス化せずにPNG画像にしたのは、レーザーカット加工ではなくラスタ加工(レーザー彫刻加工)するためです。動画にもあったように、ラスタ加工では、細い水平線を何本も照射させます。
そうするとこんな感じのPNG画像ができあがります。上半分(左右反転してない方)は必要ないので下半分だけ使います。スタンプ上での寸法は約40x7mmです。

黒い背景にレーザーが照射されて削れるというわけです。つまり文字のところが残って、スタンプするときは文字にインクがつきます。
これで画像の準備はOK。

Laserweb3の準備:
今回はLaserWeb3を使ってみます(Laserweb4もありますが、たしかまだα版なので)。
Grbl1.1に対応になったので、まずは以前インストールしたLaserweb3をアップデートする必要があるかもしれません。というか、ここにGrbl1.1は必須でアップデートしろと書いてあります。

たしか以前インストールしたとき、Terminalで手入力だったので、慣れてない人は少し抵抗感があるかもしれません。Termnal(Mac)やコマンドプロンプト(Win)の操作が分からないという人は、使い方を検索してみて下さい。
各OSごとのインストール方法はこのサイト右側に書いてあるので、その通りやれば大丈夫かと。Macならここ、Winならここ

Laserweb3をインストールする前の準備(Macの場合):
・古いnode.js(version 0.12など)はアンインストールしておくこと
・かわりにNode.js 6 LTSをダウンロード(https://nodejs.org/en/download/
・Google Chromeをインストールしておくこと
・Git for OSXをダウンロード&インストール(https://git-scm.com/download/mac
   Git for WinやLinuxの場合はこちらから

Laserweb3のインストール(Macの場合)
・ターミナルを開く。
・ユーザーrootにインストールするといい(/Users/username/Laserweb3という場所になるように)、通常はターミナルを開いた段階で、このディレクトリにいると思うのでそのままでOK。
・ターミナル上でgit clone https://github.com/LaserWeb/LaserWeb3.gitを入力
・続いて、cd LaserWeb3
・さらに、npm install(ここでシリアルポートのエラーが出るけど無視)
これでインストールは終了。

アップデート方法:
もし、アップデートが必要ならLaserwebを立ち上げる前に、
cd laserweb3
で、laserweb3のディレクトリに移動し、
git pull
を入力(ここに書いてあります)。
もし、すでにアップデートが済んでいるなら、
Already up-to-date.
と、表示されます。

Laserweb3の起動:
・ターミナルを開く。
cd laserweb3を入力(Laserweb3フォルダ内のディレクトリへ移動)。
node server.jsを入力(サーバを立ち上げる)
そうすると、ターミナル上には以下の画面が出てきます。
この画面↑にも書いてあるように、
1.Google Chromeブラウザを立ち上げる。
2.Chromeのアドレスにlocalhost:8000を入力するか、上画面に書いてあるアドレスhttp://192.168.3.2:8000/(このアドレスはルータ等の設定によって各自異なる)を入力。

特に問題なければChrome上ではLaserweb3の画面が出てきます。
これで、ようやくLaserweb3の用意ができました。

画像をLaserweb3に取り込む:
まず青いOpenボタンを押して先ほどInkscapeでつくった画像を取り込みます。
画像解像度は高めだったので、Laserweb3の作業グリッドからはみ出ています。
なので、サイズを調整しますが、同時に色々な設定もしていきます。

CNCマシンの設定:
まず、画面左側にあるSettingsタブをクリック。そして青いSIZEタブの設定項目から入力していきます。
X-Length、Y-Lengthにはマシンの作業エリアの値を入れておきます。
Laser Beam Diameterは、今回の場合ラスタ加工するので0.1mm(かなり細め)にしておきます。
Cutting Mat Thicknessは3mmで(これは何なのか不明?)。
Air Assist NozzleはないのでDisable。
その下の、Default Import DPIは、
それぞれ96、96、92、600という感じで、グレーで数値が表示されている値(多分デフォルト値)を入れておきます(入力するとグレーが黒文字へ変わります)。そして下の緑色Saveボタン。
上の方に(NB: Page needs a refresh for these settings to take effect!)と書かれているので、一度ブラウザで再読み込みしないと変更された数値は反映されないようです。反映(設定)されれば、赤文字の! Incomplete Configが消えます。ただし、読み込んだ画像は消えてしまうので、再読み込みが必要。
(Required)は入力必須なので、何かしらの値を設定入力しておきます。

次に、また上に戻って青いGCODEタブ内の設定。

Concatenate Raster X Movesは、ピクセルが同じグレースケール値の場合長い線につなげるという機能のようですが、SmoothiewareではDisableにしろと書いてあるので、おそらくgrblでも無理だろうからDisable。
Start G-Codeには、加工前の動作を設定できるようです。例としてマシン原点に戻るなどグレーで書いてありますが、今回はここは必要ないかと。(Optional)なので入力しなくてもOK。
つぎにLaser ON Command、ここはGrblのLaser ModeのM4を入れておきます(Grbl0.9までならLaser ModeがないのでM3)。加工前にGrbl設定でLaser Modeをオン($32=1)にしておく必要があります。
そして、Laser OFF CommandはM5。これはGrbl1.1も0.9も共通。
もう少し設定項目は続くようなので以下へ。


PWM Max S valueは、レーザーの最大出力値。Grblでは1000は最大値なので1000を入力。
Homing Sequenceは$Hで、Grblのホーミングサイクル(機械原点移動)。
End G-Codeは、M30。加工のGコード最後につける加工終了のコマンド。
Travel Movesは、単位がmm/minではなくmm/sなので要注意。G0(加工していないときの移動速度)なので画像では5を入力しましたが、5mm/s=300mm/minなので遅すぎかも。Grbl内では1000mm/minに設定したので、それにあわせるなら16mm/s。試運転なのでちょっと遅めで10mm/sあたりに変更しておきます。
その下二つはレーザーテスト用の設定。(Optional)なので空白のまま。
緑のSaveボタンを押して、ここの設定は終了。

次の青いダブTOOLはあまり設定内容もないので、以下のまま。

さらにつぎの青いBACKUPも特になし。
重要なのは最初のほうに設定したSIZEGCODEタブの二つでしょうか。
大体設定できたので、つぎは先ほど取り込んだ画像を再取り込みします。

画像調整とGコード生成:
取り込んだ画像が大きすぎるので、解像度など変更しながらサイズ調整します。
左側のCAMタブをクリックして、画像名(この場合stamp001.png)をクリックすると以下のように設定可能な画面になります。

ここで、Bitmap Resolutionを変えていくと、画像の大きさも変化します。画像の寸法が出てきてくれるので、だいたいこんな感じというところまでDPIを調整します。今回は幅35mm、高さ6mmくらいまで小さくします。
Raster: Proportional Feedrateも単位はmm/s。今回試してみないと分からないので、一応かなり遅めで4mm/s=240mm/min(上画像では20mm/sになっていますが)に設定してみます。明暗でスピードが変えられるようですが、どちらも同じ設定にしておきます。おそらくレーザー照射されるDarkのほうが遅く設定するといいとは思いますが、これも今回は様子見で。
Laser Power Constraintsは0〜100%の設定。スタンプなので白黒となるため。
Position Offsetは適宜入力して、材料ぎりぎりだと加工が難しくなるので2mmほど余白をつけておきました。入力すれば、右画面の画像もその分移動してくれます。
こんな感じで、上にある緑色のGenerate G-Codeボタンを押して、Gコード生成。

Gコードによるパスを確認:
Gコードが生成されれば、右画面上のG-Code Viewタブで、Gコードのパスだけを見ることができます。

ラスタ加工なので水平のパスだけで文字が浮かびあがっています。Settings>SIZEのところでレーザーの直径を0.1mmに設定したので高さ6mmだと60本ほど線があることになります。つまり60回線を引いてこの画像を加工するということになります。幅35mm×60本=2100mm、加工スピードを4mm/sに設定したので2100/4=525秒、つまり9〜10分かかるということになります。大丈夫なのか少し心配です。加工面積は小さいので、失敗しても材料がそれほど無駄になるというわけでもないです。
ここで設定を考慮しなければいけない点は、
レーザーの直径:0.1mm(小さすぎるか?0.2mmだと荒すぎか?)
加工速度:4mm/s=240mm/min(ダイオードレーザーだと加工に充分な速度?)

作業開始:
Bluetooth経由でCNCマシンと通信しようとしましたが、なぜかエラーがでてしまいます。どうやら上手くつながらないみたい(Bluetooth対応のnode.jsもあるようなので、それを使えばいいのかもしれませんが、もう少し調べてからチャレンジしてみます 追記:その後アップデートしてみたらBluetoothでもつながりました)。
なので、今回はCNCマシンと直接USB接続で、このままLaserWeb3でGコードを送りつつ加工作業もしてみました。5.5Wのダイオードレーザーです。
今回はGrbl1.1のLaser ModeのコマンドM4でレーザー出力するので(Laserweb3内でもM4で設定済み)、GrblのレーザーモードをON($32=1)にしておく必要があります。
これはちょうど作業が終わったところ。やはり計算通り約10分かかりました。0.1mmずつの走査線なのでけっこうかかります。ランバーコア合板を台にして、その上にレーザー用ゴム板をただのせているだけです。両面テープ等使って固定した方がいいとは思いますが、今回はテストなのでそこまではしていません。
加工中も気になっていたのですが、レーザーが当たった部分は黒くなっています。ただ表面が焦げているような感じ。加工中は多少焦げ臭い匂いもしましたが、煙がでるほどでもなく、気にしなければあまり大した匂いでもない感じでした。

これが、加工直後の状態。幅35mm、高さ6.35mm。
左のほうは指で少し触ってしまったのですが、動画で見たような白い粉がでてきました。ただ黒く表面が焦げただけかと思っていましたが、もしかすると動画で見たような感じに上手く削れているかも。
ということで、ここでエアーダスター(エアースプレー)で一気に黒い焦げも含めて吹き飛ばしてみました。

そうすると、やはり白い粉のようなものがでてきて、ティッシュでも最後拭きましたが、こんな感じになりました。見た目からすると、上手くいっている感じ。やや彫りが少ないかなとも思いましたが(目測では0.3mmくらいの彫り)、文字はきれいに浮き出ているし、焦げているという感じでもないので、これでOKということにしました。
さすが機械でつくったという感じです。手彫りならこんなに正確には彫れません。

シートから切り取って、木片に両面テープで貼ってみました。文字を囲んだ枠の部分は必要ないのですが、今回はつけてみました。
さっそくスタンプしてみます。100均で買った水性黒インクのスタンプ台です。
設定なども勘で、初めてつくったわりには上手くいきました。やはりこのレーザー用ゴム板は、特殊な合成ゴムのようで、レーザーに対してただ焦げたり溶けたりするわけではなさそうです。なぜ白い粉が出てくるのか気になります。

幅35mm、高さ6.35mmの小さなスタンプですが、やはり0.1mmずつ線を引いていったほうが、このような文字などはくっきりすると思います。当然解像度が低ければ、文字のアウトラインももう少し曖昧になってしまうでしょう。
ただ、加工フィードに関しては5.5Wダイオードレーザーを使っているため(あまり強力ではないので)、これ以上速くすると彫りが浅すぎになってしまうかもしれません。今回は4mm/s=240mm/minでしたが、3mm/s=180mm/minなどもうすこし遅くてもいいかもしれません。そうすれば0.5mmくらいは削れるかもしれません。しかし、スタンプなのでそんなに凹凸がなくても何とかなるとは思います。
これからのシーズン、年賀状などにスタンプを使うのはいいかもしれません。

それからLaserweb3に関しては、ブラウザ上のアプリ一つでGコード生成とGコード送信もできるのでけっこう便利です。現在α版であるLaserweb4にも期待できそうです。

追記(スマホからホストへアクセス):
その後、Laserweb3をアップデートしてBluetooth接続可能となりました。MacBook Proの内蔵BluetoothでCNCマシンに取り付けたBluetoothモジュールと通信しているのですが、同時にスマホからも通信できないかと、スマホ上のChromeで192.168.3.6:8000にアクセスしてみると、普通に操作できました。スマホ上でもシリアルポートを選択して接続するのですが、MacBook Pro上で選択しているポートでOKでした。
こんな感じで画面の構成が多少崩れてしまうのですが(PCモードで表示/拡大表示も可)、ジョグボタン操作は可能なので、離れた位置にあるMacBook Proから設定やメインの操作などをして、CNCマシン付近ではスマホを使って加工原点出しができます。
つまり、bCNCのPendant機能のような使い方が可能というわけです。Laserweb3の場合は、Gコード生成とGコード送信が一つのソフトで可能なので、レーザー加工するならこれが一番便利かもしれません。

2016年12月18日日曜日

Grbl1.1 Laser Modeの実験

さてGrbl1.1のレーザーモードの実験をしてみました。
前回も書きましたが、Grbl1.1では新たにLaser Modeが加わり、その中でもM4コマンドをつかった(従来まではM3)Dynamic Laser Modeという、レーザーヘッドの移動スピードに比例するようにレーザー出力をリアルタイムで調節してくれる新機能があります。今までは、スピードが落ちがちなパス折り返し地点や出だしの部分などで、焦げが目立っていましたが、それが解消(緩和)されるというわけです。どの程度効果あるのか、そしてどんな設定やコマンド操作するといいのか試してみました。
結果的には、従来に比べけっこう使えるんじゃないかという感じです。

使っているG Code SenderはbCNCです。今回は90度の扇形(半径20mm)の図面を描いて実験です(Inkscapeで描画、Laser Tool Plug-inでGコード生成)。直線部分、角の部分、そして円弧がある図形という感じです。特にいままでは、角の部分で焦げが目立っていましたが、どうなるかいくつかのパターンで試してみました。
画面左↑にGコードがあります。ちょうど水色の部分にM03があり、ここをM4に変更したりS値を少し書き換えていくつかのパターンをつくってみました。
結果は以下。
材料は厚さ2.2mmのシナベニヤ板。半径20mmの扇形。5.5Wダイオードレーザー使用。
まずは下の段から、
左端は、従来のM3 S1000 F200でカットしたもの(やや角に焦げが見えます)。
左から2番目、M4 S1000 F200。Dynamic Laser Modeなので、あまり角が焦げていません。なかなか効果あり。

M4でもS値を入力する必要がある:
ここで疑問に思ったことがあり(前回の投稿での疑問でもありましたが)、M4はスピード(フィード)に合わせてレーザー出力するのなら(M4の場合、スピードが0だと出力も自動的に0なる)、S1000はコマンド入力しなくてもいいんじゃないか?ということで試してみると、M4だけで出力値Sを入れないでRunさせると、レーザー自体出力していませんでした。つまり、M4 S1000などと出力したい値(おそらく100%のときの出力値)を入力しないとダメです。
ということで、右から2番目のが、M4 S500 F200。出力を半分に下げてのDynamic Laser Mode。少しわかりにくいかもしれませんが、左から2番目のS1000よりは弱いかなと。
わかりにくいので、右端がS100まで出力を落としたDynamic Laser Mode。ということから、M4の場合、Sの値は上限値という感じです。

レーザーモードのオン・オフ設定:
ただ、注意点としては、M3の場合は最初に$32=0という感じで、レーザーモードをオフにしておき、M4を使うなら$32=1に設定変更が必要です。M4での作業が終わればまた$32=0に戻すという感じ。M4が便利そうなので、$32=1のままでよさそうですが(M3はもはや使わないかも)。

リアルタイムオーバーライド機能:
それから、実験結果画像の上のほうにあるのは何かというと、Grbl1.1からはReal-time Overridesが使えるようになったので、もともとbCNCについているオーバーライド機能を使ってみたという結果です。
bCNCには、FeedやSpindleをリアルタイムで調節できるスライダーがついています。加工中ではないときでも、Spindleボタンを押せば、レーザーオン・オフや出力調整が可能です(いきなりレーザー光がでるので注意が必要です)。この画像↑の場合、Feedが最大200になっています。
追記:調べてみると、どうやらこの200は200%とということらしいです。100が100%でそれに対し、25%〜200%で可変制御可能ということみたいです。
このようにスライダを右にずらせばフィード50%などに変更できます。これを加工中(レーザー照射中)に変更するとどうなるかというのが、実験結果画像の上段です。上の段真ん中が、M4で加工中にフィードを200%から50%まで下げてみた結果です。Dynamic Laser Modeなので、理論的にはフィードが途中で変わっても、それに合わせて出力変化してくれるので、均一な加工結果になるはずです。ぐりぐり少しいじったので、円弧の部分でややムラがありますが、縦のラインはフィード200%で横のラインがフィード50%ですが、だいたい同じくらいの出力になっている感じなので、効果はでていると思います。

実験結果画像上段の右端は、M3で同じように加工中にリアルタイムでフィードを変化させたものです。Dynamic Laser Modeではないので、当然200%から50%に下げれば、それだけ焦げが多くなるはずです。まあ、そういう結果になっているので、やはりリアルタイムで調節可能ということが分かりました。

まとめ:
Dynamic Laser Modeはけっこう効果あります(焦げが少なくなるために、きれいに切断できる)。
Dynamic Laser ModeでM4を使うときは$32=1(レーザーモードON)にする。
従来のコマンド(M3)の場合は、
M3 S1000(レーザーON、出力100%)
でしたが、
Dynamic Laser Mode(M4)の場合は、
M4 S1000(S値:レーザー出力上限値、S500なら最高50%で出力)。
リアルタイムでフィード(25%〜200%)や出力値(0〜100%)も調整可能。
結果的には、Grbl1.1のほうがGrbl0.9よりずっと優れている。

要するに、どうすればいいかというと、Gコード上ではM4 S1000で出力値MAX、フィードもやや速め(M3のときの設定に比べれば1.5倍〜2倍)に設定しておき、bCNCならスライダで出力値やフィードを調整するという手順になるかと。なので、今回の実験のように、いちいちGコードファイルを開いて編集する必要もないと思います。

Inkscape Laser Tool Plug-inでの設定:
例えば、Inkscape Laser Tool Plug-inを使うならば、
こんな感じで、
Laser ON Command: M04、
Laser Speed: 200(これはやや速め/レーザーのW数による)、
Laser Power S#:1000(ここはGrblのスピンドルMAX出力値の1000)
にしておいてGコードを生成。
あとでbCNCなどのG Code Senderのほうで出力値やフィードは現場調整という感じ。

bCNCの画面折り畳み機能:
これはレーザーモードには関係ないですが、bCNCの場合以下のようにState▲をクリックすると、画面が折り畳めます(しばらく気づかなかった)。
bCNCの全体表示画面が大きすぎるとき(Raspberry Piの小さなモニターのときなど)、折りたたみ機能を使えば大丈夫というわけです。

2016年12月14日水曜日

Grbl1.1 Laser Mode:レーザーモードについて

grbl1.1からはLaser Modeが新たに追加された点が個人的には嬉しいことです。
特に、Dynamic Laser Power Scaling with Speedという機能がいままでにはない優れた機能だと思います。レーザーカット作業において、今までは特にパスの折り返し地点付近で焦げめが目立っていたのが、この機能で緩和され、より自然な切断が可能となりそうです。

grbl0.9までのレーザーカット作業の手順:
Inkscapeで図面(図形)を描画
・Inkscape ExtensionのLaser Tool Plug-inで出力設定してGコード生成(gcodeファイルで保存)
bCNCでgcodeファイルを読み込み加工作業
という流れでした。

Gコード的には(Laser Tool Plug-inで自動的に書き込まれる)、
M3(レーザー出力オン)
S1000(出力100%)
M5(レーザー出力オフ)
S0(出力0%)
M30(プログラム終了)
という感じでした。

主にM3を出力オンとして使っていましたが、grbl1.1ではM3だけでなくM4もあるようです。覚え書きのためにも以下に書いておこうと思います。

Grbl1.1のLaser Mode:
Grbl1.1 Laser Modeのページを見てみると、
まず、レーザーモードにするには、
$32=1
を入力するようです。当然レーザーを使わないときは$32=0に戻しておかなければいけません。

M3 Constant Laser Power Mode:
これは、いままで通りのモードと考えていいようです。スピンドルならM3は時計回りの回転ですが、レーザーには時計回りなど関係ないので、とりあえずM3で出力オンにしていたというわけです。ちなみにM4はスピンドル反時計回り、M5がスピンドル停止。

M4 Dynamic Laser Mode:
これが今回改良されたDynamic Laser Power Scaling with Speedのことだと思います。M4はスピンドルでは反時計回りですが、ここではそのMコードをかわりにつかっているようです。
このレーザーモードにおけるM4は、レーザーヘッドのスピードに合わせて出力を調整してくれる機能で、動き出した瞬間や折り返し地点などでスピードが落ちてしまったときに、それに合わせて出力も落としてくれる(焦げにくい)という感じです。まだ実験していないので、どのくらい効果あるのか分かりませんが。
この特性のためかM4の場合、レーザーヘッドが動いていないときは出力が0になるようです。仮に消し忘れたとしても、ヘッドが止まっている限りはレーザー出力0になるのでいちいちオフにする必要がないらしいです。
つまり、
$32=1
M4
を最初に入力すればいいということでしょうか?(追記:M4 S1000などと入力する)
しかし、基準となる出力(素材に合わせた出力値)はどこで設定するのかまでは書いていません。もしかしたら、設定済みの加工最速フィードを100%出力に設定してあるのかもしれません。それとも、M4 S500とでも入力すれば、最速でS500(50%出力)ということになるのでしょうか?
この機能がすべての素材に適合するかどうかは分からないので、事前に要テストして欲しいと書いてあります。
やはり、試してみないとまだわからないという感じです。いずれにしても、以前の使い方(M3)にも切り替えられるし、結局は使い分けという感じになるでしょうか。
いちいち手入力でGコードを修正するのも面倒なので、以前Laser Tool Plug-inのエラーを解消したときのように、Laser Tool Plug-in自体はpythonで書かれているためソースコード自体を改造すればいいかもしれません。

PWM周波数:
ちなみに、スピンドル用PWM周波数は、デフォルトで1kHに設定されているようです。
それが記述されているcpu_map.hファイルを見てみると、
おそらく145行目のこれ↑のことかと思います。Laser Tool Plug-inのJ-tech laser仕様に合わせているようです。厳密には0.98kHz。これを142〜143行目のどれかに変えれば、PWM周波数を高く設定できるようです。これを見る限り16bitではなく8bitみたいですね。
$32=1でレーザーモードがオンですが、grbl1.1の質問スレを見ると、$32=2や$32=3のようなオプションもあるようなことが書いてあります。実際どうなるか試してないので分からないですが。

ということで、M3とM4のカットの違いをそのうち試してみて、近々結果を報告したいと思います。
追記:実験結果はこちら

最新版Grbl1.1をインストール

早速grbl1.1をインストールしてみました(Macの場合)。基本的にはgrbl0.9のインストールと同じようです(grbl0.8と0.9のインストールについてはこちら)。
注意としては、もうすでにgrbl0.9や0.8などをArduino IDEに以前インストールしてある場合は、保存されるフォルダ名が同じなので、一旦古いのは捨てたほうがいいです(もしくは古い方をリネームしておくとか)。
Macの場合なら、
/Users/username/Documents/Arduino/libraries内のgrblフォルダ(旧バージョンのgrbl)を捨てる。

Arduino IDEによるインストール方法:(インストールの仕方はこちらを参照
このページの緑色のボタン(Clone or download)のDownload ZIPを選択。
「grbl-master.zip」ファイルがダウンロードされるので、それを解凍すると「grbl-master」フォルダが出来上がります。
次に、Arduino IDEを立ち上げて、メニューバー>スケッチ>ライブラリをインクルード>.ZIP形式のライブラリをインクルードを選択(以下)。
そうすると、ファイル選択の画面がでてきて、先ほど解凍した「grbl-master」内の「grbl」フォルダを選択(以下)。
そして、Arduino IDEのメニューバーでファイル>スケッチの例>grbl>grblUploadを選択(以下)。
そうすると、以下のようなgrblのプログラムが書かれた画面がでます。
注意書きとして、ここには何も書き込まないようにと。

あとは、ArduinoボードをUSB接続して、「検証」「マイコンボードに書き込む」を押してアップロードします。メモリめいっぱい使って書いてあるコードなので、書き込みが不安定になることがあるような注意がでますが、なんとか書き込めればOKです。

たまに、中国製Arduinoボードの場合、シリアル通信用のICが違うためか(CH340など使用している)、Arduino IDE上のシリアルポート選択でボードのポートが見当たらないときがあります。そのため専用ドライバが必要な場合もあります。「CH340 Arduino」などで検索すると、専用ドライバが見つかると思います。

Arduino IDEのシリアルモニタでgrbl設定内容確認:
Arduino IDE画面の右上にあるシリアルモニタ機能を使ってアップロードしたgrblの内容を確認してみます(アップロード後、一度Arduino IDEを再起動してみたほうがいいかもしれません)。
こんな感じ↑で、「Grbl 1.1e ['$' for help]」が先頭にでます(ボード再接続やIDEの再起動しないとでないかもしれません)。画面右下のbaudrateは115200bpsを選択。
$$
を入力してリターンを押せば、このような各設定がでてくるかと思います。
あるいは、$I(ドル大文字アイ)を入力すれば、
[VER:1.1e.20161208:]
というように、バージョンとビルドされた日付がでてきます。
あとは、CNCマシンに合わせて各項目を設定していけば、すぐに使えると思います。
ちなみに、grbl0.9までは$xの各項目のあとに()でそれぞれの説明/コメントがついていましたが、メモリ削減のためgrbl1.1ではカットしたようです。

Universal-G-Code-Senderの場合:
以下はUniversal-G-Code-Senderの画面。バージョンは1.0.9です。
使っているArduinoボードのPortを選び、Baud:は115200、Openボタンを押すと先ほどと同じように、「Grbl 1.1e ['$' for help]」がでて、$$入力で各種設定内容が出てきます。

古いG Code Senderだとダメっぽい:(理由不明/もしかしたら大丈夫かも)
ためしに、やや古いバージョンである1.0.7でやってみると(以下)、
冒頭に「Grbl 1.1e ['$' for help]」は出て来たのですが、$$を入力しても反応なし。
画面中ほどにある「Show verbose output」にチェックを入れてみると、このような↑反応がずらずらと止まることなくでてきました(追記:これは1.0.9でも同じでした)。まだ理由は分かりませんが、1.0.9では大丈夫だったので、この際grbl1.1にすると同時にUniversal-G-Code-Senderも1.0.9の最新版にアップデートしておいたほうがよさそうです。

同様にbCNCの場合もそうでした。ということから、grbl1.1にバージョンアップするなら、G Code Senderも最新のものにしたほうがよさそうです(理由不明)

追記:
上記画面でShow verbose outputにチェックを入れると、このように連続的に状況がアウトプットされるので、通常はチェックを入れないでおく方がいいです。

その他エラーなど:
Known Issuesに書いてありましたが、USBシリアル変換チップであるCH340Gが搭載されているArduinoボード(特に中国製クローンに多い)でシリアル通信のエラーが発生するらしいです(いまのところ対応策なし)。
同様にAtmel 16U2(ATmega328ではなく)を搭載してあるボードにも同様のエラーが生じるようです。解決方法などはKnown Issuesのリンク先にのっています。

ということから、grblを使うならATmega328搭載のArduinoボードのほうがよさそうです。

以下は個人的メモ:grbl0.9jの時の設定内容(grbl1.1へこの設定を引っ越し)
$0=10 (step pulse, usec)
$1=25 (step idle delay, msec)
$2=0 (step port invert mask:00000000)
$3=2 (dir port invert mask:00000010)
$4=0 (step enable invert, bool)
$5=0 (limit pins invert, bool)
$6=0 (probe pin invert, bool)
$10=3 (status report mask:00000011)
$11=0.010 (junction deviation, mm)
$12=0.002 (arc tolerance, mm)
$13=0 (report inches, bool)
$20=0 (soft limits, bool)
$21=1 (hard limits, bool)
$22=1 (homing cycle, bool)
$23=0 (homing dir invert mask:00000000)
$24=30.000 (homing feed, mm/min)
$25=600.000 (homing seek, mm/min)
$26=25 (homing debounce, msec)
$27=5.000 (homing pull-off, mm)
$100=320.000 (x, step/mm)
$101=320.000 (y, step/mm)
$102=320.000 (z, step/mm)
$110=1000.000 (x max rate, mm/min)
$111=1000.000 (y max rate, mm/min)
$112=400.000 (z max rate, mm/min)
$120=10.000 (x accel, mm/sec^2)
$121=10.000 (y accel, mm/sec^2)
$122=10.000 (z accel, mm/sec^2)
$130=740.000 (x max travel, mm)
$131=940.000 (y max travel, mm)
$132=190.000 (z max travel, mm)

2016年12月12日月曜日

GRBL1.1(最新版)本格的にアップデート

どうやらgrbl1.1がようやく本格的にアップデートされたようです(1.1のリンクはこちら)。
10月くらいにアルファ版のような感じででていましたが、まだ改良の余地が残っていたようで、ようやく一段落したみたいです。1.1のWikiページにも一通りの情報が掲載されたようです。0.9jのほうはそのうちおしまいという感じです。これまでは、grbl0.9jが安定版でしたが、この際1.1にアップデートしてしまってもいいかもしれません。

v1.1で特に改良されたのは:
・Real-time Overrides
 マシン動作中でもフィードやスピンドルの速度を変えたりできるようです。
・Jogging Mode
 ジョグ機能がGコードとは独立した仕組みになっているようで、ジョイスティックやロータリーダイヤルなどを使って操作もできるようです。今まではGコード送信で擬似的なジョグ操作をしていたようです。$J=というコマンドが使えるようです。
・Laser Mode(実験結果についてはこちらへ
 レーザーに合わせた動きに対応、可変出力も可能。
・Dynamic Laser Power Scaling with Speed
 ヘッドの速度と同調してレーザー出力を調節してくれるため、従来は角(加工パス上の)が焦げやすくなっていたけれども、それが改良されている。
・Sleep Mode
 $SLPをコマンド入力すると、ステッピングモーターも含めスリープ状態にすることができる。
という感じです。
Laser Power Scalingにいくつか問題があったようで、それが解決されたのをきっかけに今回本格的にリリースされたのかもしれません。確かにレーザーを使う人にとっては、焦げがなくなってかなり便利な機能です。

Arduinoボードへアップロードする方法は、従来通りArduino IDEでできるようです。Arduinoボード上のピン配列は、grbl0.9jと同じようなのでそのまま1.1をアップロードすれば使えそうです(もちろん各種設定はし直さないといけませんが)。
grbl0.9jでも充分なのですが、せっかくなのでv1.1を今度試してみようと思います。
ただ、以前Forumで見たときは、bCNCのオーバーライド機能とはまだ連携していないらしく、いろいろあるG Code Senderが、grbl1.1に対応するのを少し待つ必要があるかもしれません。

追記:grbl1.1のインストール(Mac)については次の投稿へ

2016年11月30日水曜日

オシロスコープ DS202

少し前に、ポータブルデジタルオシロスコープDS202をAliExpressで購入したのですが、しばらく使うこともなく放置していました。今回試しに使ってみました。

AliExpress.com Product - New arrived Pocket Handheld Oscilloscope DS202 mini Display full Color TFT LCD 320X240 Digital Oscilloscope cheaper than dso20311,438円(送料込み)

外形:100x56x10mmのポータブルなデジタルオシロスコープで、2CHついています。
Analog bandwidth:1MHz
Max sample rate: 10MSa/s
Max sample memory depth: 8K
Analog input impedance: 1MΩ
Max input voltage: ±40V( X1 probe)
大体1万円前後で売っているのですが(AliExpress内で探せばもう少し安いのがあるかもしれません)、購入したときはセール品でもあり8,501円でした。

追記:
今現在AliExpressで検索したところ、DS202は8,509円(その後9,167円に戻ってました)で売っているところがありました。セール品かもしれません。ちなみに、スマホ用アプリから注文すると少し安くなる場合があります(アプリ価格)。

ちなみに、アマゾンだと安いものでこのくらい。

このDS202の下のランクDS201だと1CHで性能もやや低く少し安くなります。さらに上位機種のDS203であれば4CHなのですが、少し値段も高くなることから、2CHのDS202が無難かなと。
なぜか商品名がDSO202だったり、DS202だったりと違いますが、DSO〜というのはひとつ古いタイプなのでしょうか?そのへんは分かりません。


AliExpress.com Product - LIXF-CCDSO Mini Digital Oscilloscope 4 channels DSO203 Quad Oscilloscope metal shell PortableDS203 4CH 14,686円(送料込み)
こちらは4CHついていて、スペックもやや上。ものすごく高価というわけでもないので、これもいいかも。


いままでは、秋月のテスター(たしか1000〜2000円くらい)をよく使っていました(以下)。
これでも簡単な作業においては充分だったので、そのうちオシロスコープを買おうと思いつつも、結構高価(数万円)なのでついつい見送っていた感じです。

しかし、最近はDS202のようなポータブルなデジタルオシロスコープも安くなってきたので、しかもAliExpressだとなおさら安いということもあり購入することにしました。DS202は、操作がタッチ式ボタンなので(液晶画面上がタッチパネルではない)、やや操作しにくいのですが慣れれば大丈夫だと思います(ツマミや回転式ダイヤルのほうが操作はしやすいのですが)。ただ、据え置き型のオシロスコープと違って、どこにでも持っていけるので、ある意味便利かもしれません。

DS202の中身はこんな感じ。右上にある赤黒プローブは追加で購入(購入時:566円送料込み)しました。どうやら付属のプローブは1セットしか入ってないようなので(消耗品でもある交換可能なプローブ先端部品は4個入ってました)。バッテリーはUSB経由で充電です。
一応、ここに(www.minidso.com)アクセスすれば、最新のファームウェアやPDFマニュアル、そしてForumがあるので、サービスはきちんとしているほうだと思います(基本、中国語か英語ですが)。

AliExpress.com Product - High Quality Digital Hook Probe Mcx for Mini Digital Oscilloscopes DSO201 DS203 DSO QUADこのシリーズ用のフックプローブ 638円(送料込み)


DS202を使ってみる:
ということで、使い勝手はどうか試してみました。
ただ電圧を測っても仕方ないので、何か信号っぽいものはないかと思い、CNCシールドV3.0上のスピンドル用の端子(PWM端子)を計測してみることに。
まずは、CNCシールドV3.0+ArduinoをMacBookにUSB接続し、G Gode Senderでスピンドル可変制御のコマンドである
M03 S500(50%出力)
を入力してみました。
以前の投稿のように、grbl0.9でCNCシールドV3.0を使う場合は、シールドV3.0上のEND STOP Z+かZ-がスピンドル用の端子となるので、それを確かめてみるという感じです。

 右上にDS202のプローブをZ+の白黒端子と接続しています。白端子がPWM、黒端子GNDです。今回は1CHだけの使用です。このプローブ(追加で購入したほう)の先端はピンをくわえられるようになっているので便利です。

コマンドでArduinoにM03 S500を送信したので、予想通りデューティ比50%の矩形波が表示されました。画面下のほうに、計測した値+V:+5.12V、Duty:50%とでています。多少ノイズも含まれているので、Vmax:+5.92Vとなっています。周期は▲T +128uSとなっています。
こんな感じで計測できます。右側にあるタッチ式のS、Mボタンと十字キーで、各種設定や計測を行います。波形の拡大縮小も十字キーで簡単に変えられます。
テスターでもある程度は計測できるのですが、このように矩形波が視覚的に確認できるので、やはりオシロスコープのほうが便利です。今後何かあれば、積極的に使っていこうと思います。

画面をキャプチャする方法:
しかし、ひとつ疑問に思ったのは、この画面をキャプチャ出来ないものか? マニュアルを見てみると、やはりキャプチャできるようです。bmp画像として、右のボタン操作(あるいは右上側面にあるポーズボタンを長押しでショートカット)で可能なようで、このDS202内に保存されるようです。パソコンとDS202をUSB接続すれば、パソコンからDS202にアクセスできるので、内部に保存されたbmpデータをパソコン側に移動するだけです。ちなみにファームウェアをアップデートするときも、USB接続後、パソコン側にダウンロードしたファイルをDS202に書き込むだけです。
この手のものは、大抵Windowsにしか対応してないものが多かったのですが、Macでも問題なくファームウェアアップデートなどできます。

これが↑キャプチャした画像です。

デジタルオシロスコープなので、それなりに機能は色々ついていて便利です。それほど高精度ではないかもしれませんが、8501円にしてはかなり使えると思います。1CHと2CHの波形を合成することもできるようです。機能やスペックを確認したい場合は、マニュアルを見てみるといいと思います。

2016年11月25日金曜日

CNCシールドV3.0とV3.1以上(最新版はV3.51)の違い

Arduinoボードに直接装着できるCNCシールドV3.0とV3.1以上(最新版はV3.51)の違いを書いておきます。CNCシールドがあることで煩わしい配線がすっきりして便利ですが、基本的にはArduinoボードに直接モータードライバやリミットスイッチなどを接続すれば必要ないものでもあります。とは言っても、中国製の格安CNCシールド(クローンのArduino UNOとドライバとのセットなど)があるので、つい買ってしまいます。大体はV3.0だと思うので以下のような違いを理解しておくといいと思います。
開発元であるPROTONEERのサイトに使い方や設定方法などが書いてあるので見てみるといいと思います。


主には:
CNCシールドV3.0(1000円以下):grbl0.8用のピン配列、スピンドルON-OFF制御
CNCシールドV3.1以上(2000円前後):grbl0.9用のピン配列、スピンドル可変制御
という感じです。
最新版V3.51には、リミットスイッチ端子にノイズフィルターもついたようです。
Z軸の高さ調整など行うProbe(下画像:Arduinoボード左下のA5ピン)に関してはこちらへ

grbl0.8とgrbl0.9のピン配列の違い:(追記:最新版grbl1.1の場合はgrbl0.9とピン配列は同じ)
まず、CNCシールドV3.0とV3.1以上の相違点の前に、grbl0.8とgrbl0.9のピン配列の違いを理解しておくといいでしょう。
grbl0.9からは、スピンドルが可変制御(PWM制御)となったので、Arduinoボード上のピン配列が少しだけ変わりました。以下の赤の矩形で囲んだ部分に違いがあります(grblのサイトに違いの説明があります)。

grbl0.8(上画像左)では:
ArduinoボードD12ピン:Spindle Enable(スピンドルON-OFF端子)
ArduinoボードD11ピン:Limit Z-Axis*(Z軸用リミットスイッチ端子)

grbl0.9(上画像右)では:
ArduinoボードD12ピン:Limit Z-Axis*(Z軸用リミットスイッチ端子)
ArduinoボードD11ピン:Variable Spindle PWM(スピンドル可変制御端子)

CNCシールドV3.0はgrbl0.8のピン配列に対応しているため(数年前の仕様)、もしCNCシールドV3.0でgrbl0.9(あるいは1.1)を使用する場合は配線に関して注意が必要です。CNCシールドV3.0でも配線を入れ替えることでgrbl0.9j(あるいは1.1)を使用することができます。
*Arduinoボード上では、上画像に見えるボード右端に縦に並んでいるピン0〜13(D0〜D13ピン)がデジタル入出力ピン(ON-OFF制御用)になります。しかし、3、5、6、9、10、11の6本のピン(ピン番号の頭に−がついているピン:例えば−3のように)だけはPWM出力(256段階可変出力)に設定可能です。そのため、grbl0.9以降ではスピンドル可変制御を導入したことにより、ON-OFF制御にしか設定できなかったD12ピンをPWM制御出力可能なD11と入れ替えたようです。

また、grbl0.8ではシリアル通信の速度となるbaudrateは9600、grbl0.9以上では115200になります。grbl0.8から0.9へアップグレードしたとしても、けっこう内容が変わっているので、そのままgrbl0.8のようには使えないかもしれません。
パソコン上にインストールするG Code Sender(Grblcontroller、Universal-G-Code Sender、bCNCなど )と接続後、
Grbl 0.9j ['$' for help]
コンソール画面にこのように↑でれば、Arduinoにアップロードされているgrblのバージョンが0.9jであることが確認できます。どのバージョンか確認するには、一度接続してみるといいと思います。また、パソコンにArduino IDEがインストールされているなら、シリアルモニタ機能でもコマンド送信することで確認できます(方法についてはこちらのページ中程に書いてあります)。
0.9にバージョンアップした場合は、コマンドや設定も0.8とは違うようなので、再度セッティングし直したほうが良さそうです。例えば、grbl0.8では$17=1がホーミングサイクルON設定に対して、grbl0.9では$22=1がホーミングサイクルON設定となっているので、このへんからして違いがあります。


CNCシールドV3.0とV3.1以上(最新版はV3.51)の違い:
以下は、2016年3月にaitendoで購入したCNCシールドV3.0です(モータードライバA4988を搭載済み、モータードライバについてはこちらへ)。アマゾンなどでも1000円以下で購入可能だと思います(AliExpressなら数百円)。
黄色い枠で囲んだ部分を見てみると、まず右側にSpnEn端子があります。これはgrbl0.8に対応したスピンドルON-OFF制御の端子です(grbl0.9では可変制御に改良)。そして、CNC SHIELDと製品名が書かれています。ここにはバージョンは書かれてなく、そのままCNC SHIELDとしか書いてません。このへんが、V3.0の特徴でしょうか。

それに比べ、以下がその後購入したCNCシールドV3.5です(最新版はV3.51:ブログ右側にAliExpressのリンクがあります)。価格は2000円前後(やや高い)。
V3.0でSpnEnだった端子が、SpnEn(pwm)となっています。そして製品名にもPROTNEER CNC SHIELD V3.5と書かれています。V3.5(あるいはV3.1以上)では、SpnEn(pwm)の端子名が変更になっただけでなく、ピン配列もgrbl0.9に対応しています。grbl0.8対応のV3.0と違って、ピン配列を入れ替えすることなく、grbl0.9をそのまま使えます。それから、右下の方にあるジャンパブロックが、リミットスイッチをオープン状態で5Vにするか0Vにするかを選択可能にします(このあたりの設定や説明は開発元PROTONEERのサイトに書いてあります)。
*V3.5とV3.51の違いは、主にはリミットスイッチ端子にノイズフィルターがついたことでしょうか。


CNCシールドV3.0を使いつつ最新版grbl0.9(grbl1.1も同様)を導入する場合:
安価なCNCシールドV3.0を用いて最新版のgrbl0.9を導入する人も多いと思います。以下のように配線を入れ替えてリミットスイッチやスピンドルと接続することで、特に問題なく使用することができます。
CNCシールドV3.0の右側に並んでいるピンのうち、SpnEnにはZ軸用のリミットスイッチ(Z+とZ-の両方)をパラレルに接続し、かわりにZ+(あるいはZ-)端子には、スピンドルの可変制御用端子(Spindle PWM/ドライバのTTL端子)を接続します。他のX+、X-、Y+、Y-端子には、今まで同様X軸とY軸のリミットスイッチをそれぞれ接続します。リミットスイッチは普段オープンな状態にしておき、スイッチが押されたときにクローズドになるように端子を選んで接続します。リミットスイッチの白端子には普段5Vが通電されています(プルアップ抵抗で5Vになっている)。黒端子はGND(0V)です。白と黒をショートさせると、白端子が0Vになり、リミットスイッチが入ったことを感知する仕組みになっているようです。

CNCシールド上では、各リミットスイッチには+と-(通常、X+:X軸右端、X-:X軸左端、Y+:Y軸奥、Y-:Y軸手前、Z+:Z軸上、Z-:Z軸下)がありますが、回路上ではそれら二つはパラレルに接続されているようです(Arduinoボード上のリミットスイッチ端子はひとつずつしかないので)。
念のため、ここに書いてある内容を鵜呑みにする前に、Arduinoボード(grbl0.9をアップロードしてある)のD11とD12に対応するピンが、CNCシールドV3.0のどのピンとつながっているのか、各自がテスターで確認したほうが安全だと思います。
注意点:
おそらくCNCシールドV3.0(V3.51未満)の場合は、リミットスイッチにノイズが発生するため、コンデンサーをリミットスイッチ用の端子につけたほうがよさそうです。これについてはこちらへ


grbl0.9におけるスピンドル可変制御について:
grbl0.9であれば、スピンドルの可変制御(スピード調節)が可能です。レーザーを使う場合もレーザーの出力調整が可能となります。スピンドルのモータードライバやレーザードライバのTTL端子と接続することになります(ものによってはON-OFF制御しかできないドライバもあるので、grbl0.9を使う場合は可変制御可能なドライバを使用することをおすすめします)。ちなみに、Arduino(CNCシールド)のPWM端子からは0〜5V(通常8bit:256段階、D11をtimer2にすれば16bit:65536段階)の信号が出されます。
*最新版grbl1.1の新機能レーザーモードについてはこちらへ(本家)

grbl0.9においては、
M03(スピンドルを時計回りに回転)
M04(スピンドルを反時計回りに回転)
M05(スピンドル停止)
M30(プログラム終了)

例えば、
M03 S1000
を入力すれば、スピンドルをオンにして出力100%で回転となります。Sは出力値です。
S0で0%、S500で50%、S1000で100%という感じで出力調整可能です。
スピンドルを停止する場合は、
M05 S0
などと入力するといいと思います。
終了する場合は、
M30
がGコードの最後にきます。

grbl0.8まではスピンドルON-OFF制御だったので、grbl0.9を使用するならMコードも覚えておいたほうがいいと思います。


CNCシールドを使うまでの準備や設定などについて:
CNCシールドをArduinoボードに装着したからといってもすぐに使えるわけではありません。以下のような準備が必要です。
・Arduino IDE(Arduinoにプログラムするためのソフト)をPCへインストール(本家サイトの説明
   *クローンのArduinoの場合はシリアル通信用のドライバが別途必要な場合もあります。
   *HexUploaderやXloaderを使う場合はArduino IDEは不要ですが、元々Arduinoを使っているなら、IDEを使ってアップロードしたほうが簡単かも(シリアルモニタで簡単なGコードを送信することも可能なので)。
・Arduino IDEを使ってArduinoボードにgrbl0.9をアップロードする(方法はこちらへ
・Gコード送信ソフトをPCにインストールする(ここ、もしくはここ、あるいはここ
・Gコード送信ソフトを用いてCNCマシンの各種設定をする(ここ
・CNCシールド上のモータードライバの電流制限設定をする(ここ
・CNCシールド(V3.51未満の場合)のリミットスイッチ端子にノイズフィルタ(コンデンサ)をつける(ここ
・電源、モーターやリミットスイッチをつないで試運転する(ここ、あるいはここ
という感じでしょうか。

関連: