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2018年11月10日土曜日

Hyperopt:Digital Recognizer(MNIST)のハイパーパラメータの最適化



今回は、HyperoptでMNISTのハイパーパラメータの最適化を行いました。Hyperoptは前回試したHyperasの元となっているライブラリです。Hyperasはシンプルに使える反面やや扱いにくい部分(慣れていないだけかもしれませんが)もあったため、大元のHyperoptで書き直してみました。

データは前回同様KaggleのDigital Recognizer(MNIST)で、最適化するハイパーパラメータは以下です。

・Dropout率
・Dense層出力ユニット数
・batch_size数
・validation_splitの比率

Hyperoptの使い方:

ハイパーパラメータのディクショナリー設定:
まずハイパーパラメータのディクショナリーを以下のようなフォーマットで用意します。

params = {
    'Dense_0':          hp.choice('Dense_0', [128, 256, 512]),
    'Dense_1':          hp.choice('Dense_1', [64, 128, 256]),
    'Dropout_0':        hp.uniform('Dropout_0', 0.0, 1.0),
    'Dropout_1':        hp.uniform('Dropout_1', 0.0, 1.0),
    'Dropout_2':        hp.uniform('Dropout_2', 0.0, 1.0),
    'Dropout_3':        hp.uniform('Dropout_3', 0.0, 1.0),
    'batch_size':       hp.choice('batch_size', [16, 32, 64]),
    'validation_split': hp.uniform('validation_split', 0.1, 0.3)
}

離散値の場合はhp.choice()、連続値の場合はhp.uniform()を使います。このあたりはHyperasと同じような感じです。このほか乱数用のhp.randint()や正規分布用のhp.normal()などいくつかあります(ここに書いてあります)。


ハイパーパラメータの挿入と戻り値の設定:
次はモデルの構築です。MNISTデータの前処理をしておいてから、CNNを用いてMNIST分類モデルを構築します。そして最適化したい変数の部分(以下の場合:CNN層内のドロップアウト率)に、

model.add(Dropout(params['Dropout_0'], seed=seed))

という感じで挿入しておきます。
model.compile()、model.fit()したあと model.evaluate()でlossとaccを求めて、その値を戻り値とします。サンプルなどではlossのかわりにaccを評価値として次のfmin()関数に渡していますが、どちらがいいのかは不明。または、hist=fit()のhistoryからhist.history['val_loss'][-1]で最後のロス値を取得する方法でもいいのかもしれません(あるいは'val_acc')。尚、accを渡す場合はマイナスをかけて最大値を最小値に反転させておく必要があります。
またモデルなどその他の値やオブジェクトを渡すときはディクショナリーにするといいようです。ディクショナリーにする場合は、次のfmin()関数に値を渡すために'loss'と'status'のキーが最低含まれていないといけないようです。今回は追加でモデルも含めたので以下のような戻り値としました。あとでベストmodelを参照する場合は追加しておくといいと思います。

return {'loss': -acc, 'status': STATUS_OK, 'model': model}


最適化:
最後に、best=fmin()で最適なパラメータを見つけます。fmin()へモデルとハイパーパラメータディクショナリーを渡し、探索回数などを指定して最適化します。探索回数は多いほどいいと思いますが、それなりに時間はかかります(数時間とか)。
trialsには探索結果の記録が保持されるので後で参照します。

trials = Trials()
best = fmin(fn=cnn_model, 
            space=params, 
            algo=tpe.suggest, 
            max_evals=20, 
            trials=trials,
            verbose=1,
            rstate=np.random.RandomState(seed))

fn:CNNモデル(前述の'loss', 'status', 'model'が戻り値)
space:パイパーパラメータのディクショナリー
algo:使用するアルゴリズム(TPEなのでこのまま)
max_evals:探索回数
trials:探索記録保持先
verbose:ログ出力
rstate:乱数固定


結果参照:
best=fmin()からは最適化されたパラメータのディクショナリーが出力されます。そのままだと、hp.choice()の場合リストのインデックス番号が返されるので、

space_eval(params, best)

で実際の値に変換出力してくれます(以下)。

{'Dense_0': 512,
 'Dense_1': 256,
 'Dropout_0': 0.19796353174591008,
 'Dropout_1': 0.30328292011950164,
 'Dropout_2': 0.7005074297830172,
 'Dropout_3': 0.3974900176858912,
 'batch_size': 64,
 'validation_split': 0.16617354953831512}

あらかじめtrials=Trials()と定義しておけば、trialsの中に全ての情報が記録されるので、必要に応じて値やモデルを参照することができます。

trials.best_trial['result']

で以下が出力されます(複数回探索した中でのベストの結果)。lossはaccをマイナス反転したものなのでaccのこと、modelはそのときのベストモデル、statusは処理が無事完了なら'ok'。

{'loss': -0.9935714285714285,
 'model': <keras.engine.sequential.Sequential at 0x7fc5c3da87f0>,
 'status': 'ok'}

ベストモデルは、

best_model = trials.best_trial['result']['model']

によって参照することができるので、このモデルを使ってpredict()することができます。

まとめ:
前回のHyperasよりも使い勝手はよさそうです。それほど面倒なコーディングをすることもないので、個人的にはHyperoptのほうが便利かと。要は、パイパーパラメータディクショナリーとモデルを最適化関数に入れれば答えがでてくるということです。
詳しいドキュメントがないので(ここくらい)、細かな使い方はわからないのですが(ソースを読み解くしかないかも)、いろいろ応用できそうです。
今回はmax_evals=20で20回探索(NVIDIA GTX1060で49分)した結果、スコアは0.99257でした。まあまあの結果でしたが、実際100回以上(数時間)は回したほうがいいのかもしれません。

こちらのサイトでは様々なベイズ最適化ライブラリーを比較しており、時間的にはHyperoptが一番速いようです。10次元以下の最適化であればPyBOが優れているようで、それ以上の次元ではどれも遅くなるようです。また20次元や40次元になるとほとんどのライブラリが最適化できなくなるようで、Spearmintが20次元でも機能していたようです。

追記1:
その後100回(約6時間)回してみましたがスコアは0.99185という結果。validationセットでのスコアは0.995だったので向上しましたが、オーバーフィッティング気味だったったのか結果的にはいまいち。いずれにせよ0.992前後が限界という感じ。CNNの層を少し改造するか、kerasのImageDataGeneratorでデータ水増しした方がいいのかもしれません。

追記2:
validation_splitを0.2に固定して、Dropout率とDense層出力ユニット数だけをハイパーパラメータとして10回ほど探索すると0.99442まで向上しました。普通に考えてvalidation dataは少ないほどval_accは上がってしまうと思うので固定にしたほうがよさそうです。

関連:
GPyOpt: Digital Recognizer(MNIST) CNN Keras ハイパーパラメータ最適化
Kaggle Digital Recognizer(MNIST): Hyperopt + Data Augmentation
Kaggle Digital Decognizer(MNIST): Keras, fit_generator() + hyperopt


2018年11月9日金曜日

HyperasでDigital Recognizer(MNIST)を試す


前回AutokerasでMNISTを自動化分類してみましたが、今回は特定のハイパーパラメータを最適化するHyperasHyperoptのkerasラッパー)を試してみました。最適化にはいろいろ種類があって、HyperasはTree-structured Parzen Estimators (TPE)というガウス過程の欠点を補った方法のようです。グリッドサーチよりも計算量が少なく、ベイズ最適化のように探索していくようですが、微妙に計算方法が異なるようです。


使い方:
Hyperasの使い方は非常に簡単で、
例えばドロップアウト率を0から1の範囲で最適化したい場合は、

Dropout({{uniform(0, 1)}})

複数の選択肢がある場合は、

optimizer={{choice(['adam', 'rmsprop', 'SGD'])}}

を通常の変数部分に入れて行くだけです。ディクショナリーを用意する必要もないので楽です。

ちなみに、今回最適化したハイパーパラメータは以下。
・Dropout率
・Dense層出力ユニット数
・batch_size数
・validation_splitの比率


ルール:
ただし少しだけルールがあるようです(このあたりがやや使いにくいかも)。
HyperasはHyperoptのラッパーで、一旦コーディングした内容をそのままHyperoptへ翻訳変換してしまうようです。そのためまずdata関数とmodel関数を作り(カプセル化するフォーマット)、その後dataとmodelをoptim.minimize()へ渡してモデル探索します。基本的には以下のようなフォーマット。

def data():
  データの読み込み
  データの前処理
  return X_train, Y_train, X_test, Y_test

def model(X_train, Y_train, X_test, Y_test):
  model = Sequential()
  ...
  model.compile()
  model.fit()
  ...
  return{'loss':-acc, 'status': STATUS_OK, 'model': model}

best_run, best_model = optim.minimize(model, data, ...)


それから、data関数とmodel関数外で定義したグローバル変数はdata関数とmodel関数のスコープに届かないようです(importしたモジュールなどは問題ない)。よってグローバル変数などは、新たにdata関数とmodel関数内に定義しないといけなさそうです。globalを使えばいいのかも。
それと引数や戻り値の変数名も一致させておかないとエラーがでました。
また、model関数内で{{uniform()}}や{{choice()}}を含んだ行を#でコメントアウトしても、Hyperoptへ変換される際には最適化する変数として読み込まれてしまうので消去する必要があります。

最初なぜエラーがでるのかわかりませんでしたが、Hyperoptへそのまま翻訳変換するためそういうルールのようです。そういうことから、やや複雑なことをするならHyperoptを使ったほうがいいかもしれません。

ということで、このルールに戸惑いましたが何とかコーディングしたものが以下。

最適化されたハイパーパラメータはbest_runによって出力されます。

{'Dense': 64,
 'Dense_1': 64,
 'Dropout': 0.21099660541107612,
 'Dropout_1': 0.29327102196615873,
 'Dropout_2': 0.7302305870589935,
 'Dropout_3': 0.258985915829989,
 'batch_size': 32,
 'validation_split': 0.10388179991112252}

今回のハイパーパラメータはこんな感じ。
デフォルトだとchoice型のハイパーパラメータはリストのindex番号として出力されるので(例えば上記の'Dense': 64がデフォルトだと'Dense': 0と表示される)、optim.minimize()内に

eval_space=True

を加えておけば、リスト内の実際の値として出力されます。
また今回は、max_evals=10としました。これは探索回数のことだと思うのですが、最低どのくらいが必要かは試してみないとわかりません(ハイパーパラメータのハイパーパラメータ)。探索回数が多いほど正確に予測できると思いますが、その分時間もかかってしまいます。以前ベイズ最適化を試した時は15回くらいの探索でブラックボックス関数にほぼ近似していましたが、Hyperas(Hyperopt)のTPEアルゴリズムにおいてはどうなのか?



まとめ:
まだ使い方に慣れていないためか、スコアは0.98371(max_evals=10)でいまいちでした。何回かやり直してみたので、それなりに時間がかかってしまいました(エラーや失敗も含めて)。そうなると、まだまだ手動調節(スコア:099528)のほうがMNISTの場合であれば早いという感じです。
ただ、手っ取り早く試すにはHyperasはいいのかもしれません。少し使い勝手が悪いので、流れがわかればHyperoptへ移行してもいいと思います。
このほかKeras用の最適化ライブラリでTalosというものも試してみました。Talosもシンプルで簡単ですが、グリッドサーチやランダムサーチをベースにしているのか、最適化範囲や選択肢が増えると探索にとてつもなく時間がかかってしまったので一旦中止。
次は、Hyperoptで実装しなおすか、GpyOptを試してみようかと思います。

追記その1:
その後、max_evals=20で探索すると0.99200までスコアがあがりました。

追記その2:
さらに、max_evals=100まで試すと0.99271まで向上。
以下が最適化されたハイパーパラメータ:

{'Dense': 256,
 'Dense_1': 128,
 'Dropout': 0.01772328721174527,
 'Dropout_1': 0.4978692970747428,
 'Dropout_2': 0.13740853439432676,
 'Dropout_3': 0.01305834864014449,
 'batch_size': 32,
 'validation_split': 0.12455270876039955}

結構まっとうな値です。たまにDropout:0.7以上がでるときもありますが、今回はどれも0.5以下。
Denseの出力ユニット数はそれぞれ選択肢の最大値256と128なので、もう一段階512と256へ上げてもいいかもしれません。
GPU:GTX1060(6GB)で数時間回せばこのような結果が出せるのでそれなりに使えそうです。探索回数であるmax_evalsは最低でも100、もしくは500や1000で1日中回すのがいいかもしれません。

2018年11月5日月曜日

Auto-KerasでKaggle:Digit Recognizer(Mnist)を試す

引き続きKaggleのDigit Recognizer(Mnist)を試しています。少しでもスコアを上げようとハイパーパラメータを調整しては提出を繰り返していましたが、このハイパーパラメータ調整を自動化してくれるAuto-Kerasというライブラリがあったので試してみることにしました。




基本的には数行のコードでMnistなどの画像分類をしてくれます(以下)。

from keras.datasets import mnist
from autokeras.image_supervised import ImageClassifier

(x_train, y_train), (x_test, y_test) = mnist.load_data()
x_train = x_train.reshape(x_train.shape + (1,))
x_test = x_test.reshape(x_test.shape + (1,))

clf = ImageClassifier(verbose=True)
clf.fit(x_train, y_train, time_limit=12 * 60 * 60)
clf.final_fit(x_train, y_train, x_test, y_test, retrain=True)
y = clf.evaluate(x_test, y_test)
print(y)

内部の細かい仕組みについては検証していませんが、これでモデルやバッチサイズなど自動的に決めてくれるようです。いくつかのモデルやハイパーパラメータを試して、結果論的にベストなものを選ぶという感じでしょうか。

ということで、上記サンプルをKaggleのデータに置き換えて試してみました。
訓練用データを訓練と検証用データに分けて、メモリーの限度を超えないように、dtypeをint64からuint8に変換しています。

結果を得るためには、fit()内のtime_limitで時間設定する必要があるようです。とりあえず1時間試してみると、結果は0.98738で0.99には届きませんでした(前回のCNNで0.99528)。デフォルトでは24時間になっているので、もう少し長い時間かけたほうがいいのかもしれません。


まとめ:
以前ベイズ最適化(ハイパーパラメータチューニングのアルゴリズム)を試してみましたが、こんな短いコードで済んでしまうのは便利です。Mnistの場合は手動でハイパーパラメータを調節してもそれなりの結果(スコア:0.99以上)が出せますが、未知のモデルに対するベースラインをとりあえず出してみるときにいいのかもしれません。
ただし、最低でも数時間は回し続けなければいけないので、途中でエラーがでてしまうとまたやり直しというのが面倒です。
autokerasの場合は完全自動化なので、特定のハイパーパラメータを自動化できるGpyOptを使ったベイズ最適化も試してみたいと思います(こちらの例とか)。

参考にしたサイト:
https://www.simonwenkel.com/2018/08/29/introduction-to-autokeras.html

2018年10月24日水曜日

Kaggle:その2(Titanic、Mnistなど)

前回のTitanicの続きです。
いろいろとハイパーパラメータを調節して目標としていたスコア:0.80(上位8%)を何とか超えることができましたが、どうも乱数固定が不安定で偶然出てきた結果という感じ。たぶんCUDAとともにインストールしたcuDNNのほうで乱数の固定ができていないような。まあ、それでもできるだけ固定することでわずかな誤差ですむようになってきました。以下が現在の乱数固定方法。このほかKerasのDense層のkernel_initializer、Dropoutにおいてもseedを固定しています。


スコアをあげるための決定的な解決策はまだ出てきていないのですが、今回はKerasのEarlyStopping機能(訓練ループを自動的に止める)を使ってみました。

EarlyStoppingだけでなく、自動的に学習率を下げるReduceLROnPlateauとModelCheckpointでベストなウェイトを保存させて、その結果から予測させています。要はできるだけ自動化という方向で。

提出結果のスコアを比較していくと、隠れ層を1層にした非常にシンプルなニューラルネットのほうがいい結果が出ました。Titanicの場合はデータ数が少ないので(訓練+テスト:1309サンプル)、優れた予測モデルを構築しにくいのかもしれません。乱数の違いでもかなり結果が変わってしまうのでその辺が難しそう。

基本的にはデータをみながらの工夫はせずに、数値化したデータをそのままニューラルネットに渡して自動的に解決する方法にしています。

それぞれのデータに関しては:

Pclass:そのまま
Name:含まれるTitle(Mr/Mrsなど)を抽出し数値化(0〜17)、正規化
Sex:数値化、male:0, female:1
Age:欠損値あり(後で穴埋め)、正規化
SibSp:正規化
Parch:正規化
Ticket:削除
Fare:欠損値あり(後で穴埋め)、正規化
Cabin:欠損値も含め数値化:nan:0, C:1, E:2, G:3, D:4, A:5, B:6, F:7, T:8に変換
Embarked:欠損値あり(後で穴埋め)、数値化:S:0, C:1, Q:2

何度かスコア:0.80を超えた(上位8%)のですが、あまり当てにならないので、再度仕切り直しで以下のコード(スコア:0.78947)。

表示されない場合はこちら

Digit Recognizer(Mnist):
Titanicはまだまだやり続けたいのですが、1日に10回までしか提出できないので、ビギナー用のDigit Recognizerも試してみました。これはサンプルでよく使われているMnist(手書き文字)。
基本的にCNNを通して10通りの数字を分類しますが、これまで精度を上げてみるということはしたことがなかったので、どの程度できるのか今回チャレンジ。

よくあるCNNでやってみてもスコア:0.99以上にはなりました。あとは0.001でもいいのでより精度をあげるにはどうしたらいいかという感じです。
結果としては、0.99528(上位18%)まで上げることができました。以下がコード。

表示されない場合はこちら

サンプルなどでよくあるCNNに対して層やユニット数を調整したり、BatchNormalizationやDropoutを加えてみました。最初は0.993くらいでしたが、その分やや向上しました。
この他、画像をリサイズしてKeras ApllicationsにあるXceptionやInceptionV3なども試してみましたが、それほど良い結果は得られなかったので、そんなに層を増やさなくてもよさそうです。
これもまだまだ精度をあげることはできそうなので、もう少しやり込みたいと思っています。


TGS Salt Identification Challenge:
この他、賞金ありのコンペにも試しに登録してみました。これは地質画像をもとに塩の埋蔵量を予測するコンペのようです。Kernelsには基本的なアルゴリズムがのっているので、そのままコピペしてベースラインのスコアは得られますが、そこからさらに精度をあげなければいけません。基本的に画像認識のコンペですが、セグメンテーションするためのU-net、intersection-over-union(IoU)、その離散値を連続値として計算可能にするLovasz Hinge Lossというテクニックが使われているようで難しそうです。
期限前までに完全理解することはできませんでしたが、Kernelsを読んでいるだけでも勉強になるので、難しそうでも一度参加してみて、できるところまでやってみると知見も広がってよさそうです。

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2018年9月29日土曜日

Kaggle:TitanicをKerasで試してみる

いつかはKaggle(機械学習コンペサイト)をやってみようと思っていましたが、今回ようやくチャレンジしてみました。練習もかねて、ビギナー向けの「Titanic」から。


「Titanic」は訓練データを元に、テストデータの乗客者の生存確率を予想するコンペです。ビギナー向けなので締め切りはないようです。現在は1日10回まで提出できるようです(結果のスコアが分かる)。
もうすでに10000チーム以上がエントリーしてあり、100%の予想方法もあるようですが、今回はあまり難しい方法は使わず、単純にKerasでニューラルネットを組んでどのくらいの確率になるか試してみることにしました。

Googleアカウントで登録可能で、コンペにエントリーすればデータのダウンロードができます。

提出用ファイルの書式サンプルもあるので、それに従ってcsvファイルを書き出せばいいようです。提出は以下の画面からドラックアンドドロップでも可能(Step 1)で、すぐに結果を知ることができます。Step 2は任意のメモ欄で、パラメータの設定値などをメモしています(後で編集可)。

結果を提出すれば、以下のようにすぐにScore(右端)が出てきます。
この提出結果は0.75119なので、いまいち。


Kernels:
KaggleにはKernelsと呼ばれる、解析手順のアイデアやアルゴリズムが参加者によって挙げられています。これを参考にみていくと、どのようにこのデータを扱っていけばいいのかわかります。

使うデータは:
train.csv
test.csv
の二つだけで、最終的にはtest.csvの乗客者リストの生死を0/1で予想します。

データを読み込むと、

PassengerId
Survived
Pclass
Name
Sex
Age
SibSp
Parch
Ticket
Fare
Cabin
Embarked

という項目にわかれて数値や文字列が出てきます。
直接生死に関係のないデータも含まれていますが、どの項目を重視し、あるいは捨ててしまうかはその人次第です。
しかし厄介なのは、たまにデータが抜け落ちており(欠損値)、それを捨てるか、それとも何かを手がかりに穴埋めするかも決めなくてはなりません。まずは一つずつチェックしていかなければならないのですが、Pandas(データ用ライブラリ)をつかえばこのような作業も比較的簡単にできます。

Kernelsを見ると、それぞれの項目の相関を表にしたり、事前にいろいろとデータの傾向を見ているようです。
データサイエンティストではないので、今回はこのような手続きはスキップしてKerasのニューラルネットで自動的に予測してみたいと思います。

そのためには、多少データを整理する必要があります。
・不必要と思われる項目を捨てる
・データに含まれる文字列を数値化
・必要に応じて数値を正規化/標準化
・欠損値を埋める

Pandasをそこまで使いこなしていないので、今回はPandasの勉強もかねてデータクリーニングするところから開始という感じです。

ベースライン:
一応ベースラインというものがあるようで、性別を根拠に求めると0.76555にはなるようです。その他の要素をつっこんでも0.77990が限界という人もいるようです。どうも0.80000を超えるのは難しいようで、なにかしらの工夫が必要なのかもしれません。ということで、とりあえずはベースライン以上を目指してみようかと。

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事前準備:
あとでAge, Embarked, Fareの欠損値を穴埋めするために、以下のような事前準備。
・train.csvとtest.csvを合体
・Ticketの項目を捨てる

文字列を数値へ変換:
・NameからTitle(MrやMissなど)を抜き出す
・Titleに番号を割り振る(0〜17)、合計18種類
・Sexをmale:0, female:1へ変換
・Cabinをnan:0、C:1, E:2, G:3, D:4, A:5, B:6, F:7, T:8へ変換(欠損値:0)
・Embarkedをnan:nan, S:0, C:1, Q:2へ変換(欠損値はあとで穴埋め)

これで、train.csvとtest.csvの両方を数値化(欠損値以外)完了。train.csvとtest.csvを合わせて合計1309人分のデータになります。

数値の正規化あるいは標準化:
特にAgeとFareは他の項目よりも数値が大きいので、場合によっては正規化あるいは標準化が必要かも。

データを欠損値の有無で分ける:
Age, Fare, Embarkedに欠損値があるので、これらを穴埋めするために分けておきます。そうすると、1309人中1043人分のデータが欠損値なしになります。

欠損値補完:
欠損値を穴埋めする際には
・0で埋める
・平均値で埋める
・頻度の高い数値で埋める
などいくつか方法があるようですが、今回は欠損値もニューラルネットで予想しようと思います。

ここまで準備するにも結構時間がかかりました。おかげでPandasの使い方にも慣れてきました。

Kerasで穴埋め用ニューラルネットモデルを構築:
とりあえず、層の数、ユニット数などは適当に決めて、あとから調整してみたいと思います。Embarked、Fare, Ageという欠損値の少ない順に求めてみました。


生存者予想:
nanを穴埋めしたデータを元に、train.csv(891人)からtest.csv(418人)の生存者を0/1で予想します。これもまたKerasのニューラルネットを使って予想します。

結果:
とりあえず一回目の結果としては0.71770でした。かなり低い。しかし、エラーはでないので一応アルゴリズムとしては間違ってはいなさそうなので、ここから改良していこうかと。


改良:
ニューラルネットの層をいろいろ変えてみると、層を増やしてもあまりいい結果がでないので浅くしてみました。少し改善されて0.74641。
batch_sizeをデフォルトの32から5に変えると0.75598

しかし、テストデータ418人中100人以上が間違っているということなので、ちょっとしたランダムな誤差でも数人分かわってしまいそう。このあたりになってくると、もはやゲームのハイスコア狙いのような感覚になってきます。

さらにBatchNomalizationやDropoutなども層に追加してみたり、いろいろ試してみました。しかし0.75前後という感じで0.80まではなかなか届きそうにありません。複雑にしたからといっても正解率があがるわけでもなく、精度の低いモデルにオーバーフィッティングしているだけなのかもしれません。

要素を減らして(Pclass, Sex, Age, Fare, Embarkedだけ)シンプルに計算してみると、0.77990まであがりました。ようやくベースライン。

その後、また要素は戻して、正規化で全ての数値を0.0〜1.0に変換し、比較的シンプルな層でやってみると今までのベストスコアとなる0.78947。約10000人中の3371位。半分より上に行けたのでよかったのですが、これも偶然という感じ。
random.seedによっても結果が変わりそうなので、

import tensorflow as tf
import random as rn
import os
os.environ['PYTHONHASHSEED'] = '0'
rn.seed(123)
np.random.seed(123)
session_conf = tf.ConfigProto(intra_op_parallelism_threads=1, inter_op_parallelism_threads=1)
from keras import backend as K
tf.set_random_seed(123)
sess = tf.Session(graph=tf.get_default_graph(), config=session_conf)
K.set_session(sess)

で乱数を固定してみました(Kerasの再現可能な結果)。
追記:
Dense()とDropout()のなかのkernel_initializerにも乱数の設定があるので、
kernel_initializer=keras.initializers.glorot_uniform(seed=123)
と固定してみましたが、GPUを使っているためかそれでも毎回微妙に値が異なってしまいます。cuDNNのほうも設定しないといけないのかもしれません。

まとめ:
Kaggle自体敷居が高そうですが登録や提出などは簡単で、何度も提出できるので気軽に参加できます。実際に具体的な目標(スコア)があるので工夫しがいがあります。ハマると、ゲーム感覚でハイスコアを狙うといったやりこみ癖が出てきそうです。そういう意味でも面白いかもしれません。勉強する際にサンプルコードを写経するだけでおしまいになることがありますが(動くかどうか確かめるだけ)、工夫によってスコアが変わるためいろいろ試しながら結果を比較向上していく部分がさらなる理解度を深めます。当然、データの事前処理も今まではあまりやったことはありませんでしたが、データのあり方から様々な傾向が見えてくるのも面白いと思います。

その後いろいろいじってみましたが、0.76前後をふらふらしており決定的な改善策が見当たりません。NameをTitleに変換し、さらにTitleをone-hotラベルに変換したりしましたがそれほど効果なし。欠損値をニューラルネットで予測し、その予測を元に最後の生死を予測しているので、最初の予測が間違っていれば意味がないという感じかもしれません。1日に10回まで提出することができるので何度も試しているところです。

以下が、現在のコード(Jupyter Notebook)。まだベースライン前後なので、もう少し改良が必要です。


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